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  どうする管理組合のペイオフ対策

 私たち消費者にとってペイオフの時代とは、一言でいえば「お金を預けるところを預金者が選んでいく」時代であるということ。しかも相手の勧めるままにではなく、賢明に、自主的に選んでいくスタイルを身につける必要があるのではないでしょうか?

 賛否両論のなかで今年4月に解禁されたペイオフ(定期預金などの払戻保証額を元本1000万円とその利息までとする措置)。金融機関の自由競争を促すことが最大の目的とされてますが、預金は普通預金へ大量移動され、また都市銀行へ集中するなど、金融機関の選別がより鮮明となってしまった。この「1000万円の壁」をめぐり、修繕積立金の保全に頭を悩ます理事や管理組合も多いことでしょう。ペイオフの対象となる金融商品、解禁スケジュール、名寄せ、仮払い、概算払いなど、ペイオフの仕組み全体を理解し、きちんしたペイオフ対策を立てることが早急かつ不可欠な作業になるとおもいます。

ペイオフとは・・・

 ペイオフとは直訳すれば「払戻し」であり、民間金融機関が破綻した場合に預かっていた預金を本来の所有者である預金者へ「払い戻す」制度のことです。 

昭和46年に公布・施行された預金保険法にもとづき、民間金融機関が自力で預金などの払い戻しができなくなった場合に預金者を保護し信用秩序を維持することを目的とする預金保険機構が、銀行などから集めた保険料を原資としてペイオフする仕組み。

 そして、この「払い戻し」の限度額は(1995年から)2002年3月末までは預かり金全額であったのが、4月より元本1000万円とその利息までになってしまった(正確には1000万円を超える部分とその利息については、破綻金融機関の財産状況に応じて支払われる)ため預金保護=自己責任の必要性が浮上し、対応に追われることとなってしまいました。

管理組合がペイオフ対策を行う際に何から手をつけたらいいのか?

まず管理組合の内情を熟知する。

 積立金残高がいくらあるのか、預け先はどうなっているか正確に知ること。
どこの銀行へどういう金融商品でいくら預けているのか把握できていなければ対策を立てることは不可能です。まずは組合自身の「現状把握・分析」が大前提となります。

会計専門の理事を選任する。

 管理組合の理事は任期が1〜2年程度となるため、運営に関する経験や情報が引継がれにくくなっている。会計については専門性や重要性が高いので、専任の担当者を立てることでプロとして機能させるよう工夫してみましょう。また、専門委員会を設立し、区分所有者全体から選任することも有益ではないでしょうか。
同時に、修繕積立金の管理運用に関する情報を区分所有者へきちんと伝えることも大切です。


長期修繕計画に基づく資産運用計画を作成し定期的に見直す。

 駐車場には「駐車場使用細則」があるのと同様にペイオフに関しても「運用細則(金融商品を購入・管理・売却する場合のルール)」を作成しましょう。ガイドライン(指針)の明文化や運営主体の明確化、損害発生時の責任の所在(管理者責任)などが整理されます。修繕積立金は性格上、絶対に元本割れが許されないだけにその管理には慎重さが求められます。しかし「面倒くさい」「誰かがやってくれる」「よくわからない」など『何も対策を立てない』ことが最大のリスクであり、居住者全員が問題意識をもって取組むことこそが一番の解決策といえるとおもいます。

 《名寄せ》についての注意点

 管理組合は「建物並びにその敷地及び付属施設の管理を行なうための団体」であり、法人格を持てば***管理組合法人として1預金者の扱いを受けるが、大多数の管理組合は法人格を持たない。従って、修繕積立金は管理組合を構成する個人の共有財産として扱われ、組合員個々人がすでに預けている預金と合算されてしまう可能性もある。しかし、修繕積立金の性格を考えるとこの結果は思わしくなく、以下の要件(判例)を兼ね備え「権利能力なき社団」としての社団性を確保することで回避するべきだ。

・特定の共同目的のための多人数の結合体として組織を供えていること

・多数決の原理が行われる

・構成員の変更に関わらず団体が存続する

・その組織において代表、総会の運営、財産の管理など団体として主要な点が確定してる

「権利能力なき社団」となれば名寄せの際にも管理組合で1預金者として扱われる。
なお、最終判断は口座のある金融機関が判断を下すことになっている。

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